明日への挑戦

2009年09月17日

山口市旭通りの「創作ベーカリー」/『秀「shu」』の店主・末成秀一朗さん(27)


店舗内で自慢の食パンを手にする末成さん

 山口市内の繁華街から湯田寄りの住宅地に煉瓦色した洋風のパン屋「秀」がある。夕方仕事を終えた主婦らが手作りのパンを早々と買い求める。店を出して4年目の末成秀一朗さん(27)は妻の博美さん(37)と母の貞子さん(61)の3人で店を営んでいる。


  パン作りを始めたきっかけは、母が社会福祉法人ほおの木会「鳴滝園」で働いていた頃、アルバイトでパン作りを学び、その後量販店内のパンストアーやコープの店舗、パン工房、阿知須「葡萄の森」では店長も経験、空き時間を利用し自分のパン作りに腕を磨いた。


  パン作りの魅力は焼き上げるまでの行程が沢山あり、小麦とイースト菌、スキムミルクと砂糖の配合は全て自分が考えた生地がパン作りに生かされる。店内の陳列台は他店にないバリエーションの揃ったパンが並ぶ。一番自信のあるパンは「食パン」と答え、「無添加の生地で作ったパンの美味しさを実感してほしい」と自信をのぞかせる。北海道の生クリームや有機栽培の豆乳などを使い、5種類の食パンは日替わりで出すほか、タイプの違う35~40種類のパンも作る。パン・ド・ミは県産小麦100%の推奨品種「ニシノカオリ」を使うが、需要と供給の関係で数量に限りがある。


  「添加物を入れるとパンは楽に作られるが、手作りのパンは一切入れないため手間はかかるが、消費者は安心して食べられる」と安全・安心を強調する。夫婦はパンの仕込みから製造、成型を担当、母は焼き上げと商品の陳列など家族全員で協力する。山口大学公開講座(県産小麦を使ったパンづくり)の講師も担当、地産・地消のパンづくりにも取り組む。


  妻の博美さんは「主人を支えながらお客さんに喜んでもらえるパンを作りたい」と笑顔で話す。「店舗の拡大も考えるが、店舗を増やすと自分なりのものが作れないので不安。あくまでも創作ベーカリーにこだわり続けたい」と、自分流のパン作りに意欲を示す。

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