明日への挑戦

2010年02月04日

「郷土料理を伝える」宇部市吉部の夛谷敦子さん(69)


農産物加工センターの夛谷さん、郷土料理「ゆうれい寿し」

 体が続く限り郷土料理を伝えたいと農業する傍ら、今日も仲間とともに加工品づくりに精を出す宇部市吉部の夛谷敦子さん(69)は、楠地区生活改善実行グループ連絡協議会会長も務める。夫と二人で水稲2ヘクタールと畑6アール(キュウリ)を栽培、裏作はレタスやはなっこりーなど8アール営む。コミュニティを大切にしたいと朝市「おいでませ吉部」を拠点に、新鮮野菜の出荷やホタル祭りなど地域のイベントにも積極的に協力参加する。
 
 今力を入れているのが、「農産物加工センター」で作る郷土料理「ゆうれい寿し」と「竿まんじゅう」で、消費者や子どもらに広く知ってほしいと体験交流会や試食会、販売活動など精力的にこなす。
 
 食味の美味しい吉部米は、具なしでも美味しい「白寿司」を「ゆうれい寿し」と呼んだ。今は「かやく入り寿司し」の上に「白寿し」を6:4の割合で、寿司枠に4段重ねた押し寿司を切って食べる。最近は寿司の上に季節感のあるキュウリやサンショ、シソなどを置き現代風にアレンジする。昔盆や祭りで親戚をもてなすときに食べた。
 
 「竿まんじゅう」は大内氏の時代、内藤隆春の家臣が、敵を薙刀を使い大勝利し、労をねぎらうため作られたのが始まり。米粉をこねて蒸して長さ80センチ位にし、布の上で伸ばし、アンコを入れて包み適当に切って食べる。表面に赤と青の食紅で描いた模様は鮮やかだ。作り方を「こどもわくわく体験交流会」で教えた子どもらは「美味しい」と喜んでくれた。
 
 同協議会の会員は34人。活動も台所改善から始まり、今は食へ移り変わり「蕎麦の会」など多彩な活動にも取り組む。加工品づくりは全員がイベント時間に合わせるため4、5時起きから始める。敦子さんは30代の頃、農機に左手を挟まれたが、不十な体とは思われないほど「世話好き」な明るい性格がみんなを励ます。「高齢化のなか、農業も現役で活動するのは困難もあるが、手作りの加工品は限られており、これからも一生懸命生改連活動に努力したい」と、明るく答えた。

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