明日への挑戦

2010年04月14日

地球温暖化に貢献する水力発電


毎日点検する巡視員の藤本博さん(75)

 地球温暖化防止対策とエコ社会の実現を目指し、自然エネルギーを利用した小規模な小水力発電が再生エネルギーとして注目されている。岩国市の錦川水系大野川にある稗原発電所は1967年に設置され、JA山口東が許可権者である岩国市(当時は錦町)から取水施設管理者として委託を受け今も発電を続けている。約40年間省エネ発電として活躍、今は償還も終わり、発電される電力は中国電力㈱に売電しJAの経営にも貢献している。

 元錦町広瀬農協の中村貞夫参事は「当時農村地域は電力供給量が少なく、広瀬の一部にランプを使用していた家もあった。この施設は農山漁村電気導入促進法の適用を受け、導入に至った。水路が決壊し崩れた山を買い取ったこともあった」と、当時を振り返る。県内では広瀬と今の山口市阿東町生雲のほか、計3つの発電所があったという。

 発電方式は、河川の流れを貯めることなく、そのまま発電に使用する「流れ込み式」の水力発電。取水口から1509メートルの導水路で水槽に導かれ、そこから114メートルの落差のある水圧鉄管を通り、300KWを発電する水車を抜け放水される。梅雨時期は水量が豊富で発電能力が高い。

 発電設備の基本点検は電気保安協会に委託し、毎日の保守点検は巡視員の藤本博さん(75)が担当している。藤本さんは以前はJA職員で30代の頃は2人で交代勤務した。日常の巡視点検は積算電力計、水車の回転数、電圧などの計測や回転部分の油差しなど発電運転に大切な点検を行っている。雷による発電が止まった場合の対応や水槽の落葉を取り除くのも大切な作業だ。

 今、稗原発電より小さく狭い川や農業用水路の自然エネルギーを利用する小水力発電の電力供給量は増加の方向で、住宅用太陽光発電パネルと併せ、温室効果ガスを削減する再生エネルギーとして期待が寄せられている。

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