明日への挑戦

2011年10月05日

豊かな自然を舞台に「励ましあい、支えあう志谷」を目指して/農事組合法人いきいきファーム美和


(右)吉見組合長と(左)三好副組合長

 「農事組合法人いきいきファーム美和」は、2007年3月に法人化し、豊かな自然の中で水稲栽培や米粉、岩根栗などを使った加工品の生産・販売に取組んでいる。地域の8割にのぼる農地を集積し、エコファーマーとしても活躍する。

 

 同法人が活動する岩国市美和町生見にある志谷集落は、広島県との県境に位置し、錦川の支流生見川の恵みや豊かな自然に溢れている。その一方で、中山間地域特有の人口流出・過疎化による後継者の確保などが大きな課題となっている。

 

 同法人の組合長を務める吉見幸久さんと副組合長の三好邦夫さんは、いずれも教員退職後に就農した。このため、二人の地域に対する思いは人一倍強く、地域が輝き続けるためには何が必要なのか、知恵を出し合いながら活動を続けている。三好さんは、教員時代の経験を活かして組合員向けの広報誌「農事組合法人いきいきファーム美和通信」を毎月発行。法人の情報を積極的に発信するとともに、情報交換を通じて組合員の絆を深めている。

 

 また同法人では、特別栽培米として隣接田畑からの化学肥料や農薬の混入が完全に遮断されたエコ米の生産を行っている。その安全・安心で美味しい米の評判が、県内のみならず、広島や大阪など県外にも広がり多くの支持を得ている。

 

 加工事業では、志谷から誕生した外郎や餅、米粉パンなどのお菓子を「志谷庵」としてブランド化し、そのシンボルとしてキャラクターを制作。昨年9月に「ほっこりばあちゃん」として商標登録を行った。地元のイベントや直売所、市内外のスーパーでの販売等を通じて、その人気は高まっている。

 

 吉見さんは「地元が誇る農産物や加工品を、一人でも多くの人に味わってほしい。その思いで、ブランドの確立やPRを行ってきた。あとは、需要に応える量をいかに確保するかが当面の課題だ」と話した。

 

 また、吉見さんは中山間地域特有の人口流出・過疎化による後継者問題など、今後の志谷集落を見つめ「今私たちがしなければならないことは、若手に対する技術の継承。農業経験のない人でも、法人に参加することで一人前に農業ができるような体制を構築し、担い手育成に努めていきたい」と、今後の法人のあり方について語った。

 

 三好さんは「法人の業務内容が複雑化し、多様な担い手が活躍できる機会が増えてきた。JAの総合力や知識・ノウハウに期待を寄せるとともに、JA主催の研修や営農指導を受けながら、いきいきと活動できる法人を作っていきたい」とその意気込みを語った。

 

 志谷で生まれる米や加工品は、どれも生産者の思いが詰まった逸品である。吉見さんと三好さんは「農事組合法人いきいきファーム美和」として地域の先頭に立ち、今後も志谷ブランドの魅力を積極的に発信していく。

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