明日への挑戦

2012年07月10日

農業を愛し、地域を愛する法人活動/「農事組合法人あいのう木田」内藤哲夫さんの取り組み


代表理事を務める内藤哲夫さん

 農事組合法人あいのう木田の代表理事を務める内藤哲夫さんは、宇部市木田で49人の組合員とともに水稲、小麦、じゃがいもを生産しています。

 

 木田地区は同市のほぼ中心に位置し、圃場に沿って厚東川が流れる風光明媚な場所。国道2号線沿いとアクセスもよく、2000年に圃場整備が完了するなど恵まれた条件にあります。

 圃場には100メートル以上にわたって菜の花が咲き誇り、見る人の心を癒しています。

 

 2007年からの品目横断的経営安定対策導入と同時に、法人化を目指す前段として「特定農業団体木田営農組合」を設立。現在の主力生産物である水稲、小麦、じゃがいもの栽培を確立しました。

 その後、効率的な水田農業と所得向上を目指し、2009年に「あいのう木田」が誕生しました。

 

 内藤さんは、法人化のきっかけを「組合員全員が地域を守るため、農地を守るために法人化を望んでいた。誰ひとりとして法人化に反対せず、思いをひとつに突き進むことができた」と当時を振り返ります。

 また、小規模農家が多かったことも、法人化への後押しになったと内藤さんは考えています。

 

 あいのう木田は、水稲、小麦、じゃがいもをブロックローテーションにより経営安定を図っています。2011年からは、大豆やにんじんの栽培も取り入れました。

 

 また、宇部市学校給食応援団員として、地元の学校給食にじゃがいもを提供しています。

 内藤さんは「地域の子どもたちに、地元で育った野菜を食べてほしい。年に1回、地元の子どもたちを対象にじゃがいもの収穫体験に取り組んでいるが、みんなの喜んでくれる姿が励みになる」と笑顔を見せます。

 

 法人化して、3年が経過したあいのう木田。組合員らは、「作業の効率化のみならず、構成員がそれぞれの知識・知恵を持ち寄り、工夫を凝らして農作業できることが素晴らしい」「農村地域での就労の場、収入源としてとても助かっている」「年齢や性別による体力差に応じた作業分担が可能となり、助かっている」など、法人化のメリットを感じています。

 

 また、農地を預ける高齢農家は「年齢とともに体力に自信がなくなっていく。圃場整備された田畑を荒らすわけにはいかないと不安が募っていた矢先、法人化して耕作を依頼できるようになった。本当に助かっている」と喜んでいます。

 

 内藤さんは、「法人になり、ようやく3年生になった。それでも、法人化に至る過程での様々な取り組みが、今の法人活動を支えている。これまでの取り組みをステップアップさせるためにも、法人化には意味があったと思う」と法人化の意義を話します。

 同法人で理事を務める吉富勉さんは、「私たちの法人は、女性も楽しく農作業できる風土がある。ともに収穫の喜びを味わいながら、笑顔で楽しく農業に打ち込みたい」と法人活動の魅力を語ります。

 また、「農繁期に向けて、草刈作業なども始まった。気の合うメンバーたちとの作業は楽しい」と話しました。

 

 少子高齢化が進む現代社会。あいのう木田の担い手の平均年齢は60歳を超え、新規就農者の受け入れが急務となっています。

 内藤さんは、「木田地区は宇部市街地から近く、定年後に木田に帰ってくる人は多い。その際に農業に携わってもらえるよう、積極的に法人に呼び込みたい」と意欲を見せます。

 また、「以前、じゃがいもの栽培に失敗した年があったが、翌年に大成功を収めた経緯がある。なぜ失敗したのかみんなで考え、翌年に再び挑戦した。法人化のときもそうだったように、あいのう木田にはみんなで何かをやり遂げようという気質がある。これからも、組合員一丸となって地域と農業を盛り上げたい」と話しました。

 

 独特の法人名である「あいのう木田」の由来は、「農業を愛し、木田を愛す」こと。

 組合員、地域住民が一体となって農業に親しみ、地域を愛する活動の輪の広がりに期待がかかっています。

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