明日への挑戦

2012年07月13日

自ら情報発信を/江越農園 江越正和さん


江越正和さん、律子さん

 江越農園の江越正和(42)さんは、防府市大道でトマトの栽培に取り組んでいます。

 もともと県の普及指導員として、農林事務所や普及センターでの勤務していました。そこで培った栽培技術を武器に、2007年、夢だった農業の世界に飛び込んだそうです。

 

 江越さんは、就農当時の状況を「ゼロからの出発で心細かったが、自分と同じ新規就農者が周囲にいたから一歩を踏み出すことができた」と振り返ります。

 2011年には、トマトのハウスを1,000平方メートル拡大し、選果場も設けました。従業員と一緒に、楽しみながら農業と向き合う毎日を送っています。

 

 同地区は、2010年7月の集中豪雨で、冠水や土砂崩れなどの甚大な被害を受けました。江越農園は直接的な被害は免れたものの、台風による風害等を受けるたびに、農業が自然相手の難しい産業だと思い知らされたといいます。それでも、家族や仲間の支えがあって、農業経営を続けることができると話します。

 

 今では、トマトを販売して欲しいと江越農園を訪れる消費者も増えたといいます。口コミでおいしいとの評判が広がっているからです。中には業者もおり、レストランでトマトを使いたいなどのオファーもあるそうです。江越さんは「自分たちの生活に見合った無理のないペースで、トマトづくりを続けたい。そのためにも、地域とのつながりは大切」と話します。

 

 江越さんは、トマトに必要な肥料等を液肥で与える「溶液土耕栽培」に取り組んでいます。トマトの生育段階に見合った養水分を供給できるメリットがあり、おいしいトマトになるのだそうです。土作りに力を入れるとともに、エコファーマーとして化学肥料・農薬の使用も控えています。

 

 また、規格外のトマトの有効活用するため、トマトピューレやジャムに加工する計画を進めています。6次産業化に向けた取り組みとして、このほど、正式に農水省の認定を受けました。今後、新たに加工場を設置するなど、関係機関の協力を得ながら取り組んでいく予定です。

 

 妻の律子さんは「トマトをただ生産、出荷して終わるのではなく、ちょっとした工夫を凝らして売り出してみたい。6次産業化に取り組むことで、これまで以上にやりがいが持てるのではないか。夢が持てる農業経営を、私たち若い世代の農業者から発信できれば」と意欲を見せています。

 

 江越さんは、江越農園の営農に関する情報をブログ「農への道 えごぽん農園のすこやか?成長日記」で紹介しています。「直売所やスーパーへ行くと、野菜売場に生産者の名前や顔写真が掲載され、消費者に安全・安心をPRできる。それでも、生産者の人柄や生産に懸ける思いまでは伝えることができない。だからこそ、ブログを通じて自ら情報を発信し、江越農園におけるトマトの生産、販売に至るドラマを知ってほしい」と情報発信の大切さを訴えます。

 

 トマトづくりの仲間を増やし、大きなトマト産地の形成を目指す江越さん。仲間との絆を胸に、自慢のトマトを生かした独自の農業を展開しています。

このページの先頭へ