明日への挑戦

2018年08月01日

あぶトマト/切磋琢磨できる環境がブランド力向上に貢献


切磋琢磨できる環境がブランド力向上に貢献/山口あぶトマト部会 部会長 倉増隆資さん

 

萩市むつみ地域と山口市阿東地域は、中国地方有数の夏秋トマトの産地。隣接する2つの地域で栽培される「山口あぶトマト」は、2005年に産地統合で誕生したブランドトマトです。産地統合するまでは、むつみ地域で「高俣トマト」が、阿東地域で「阿東夢(あとむ)トマト」がそれぞれ栽培されてきました。管轄するJAと行政が異なる両地区では、当時、選果場の老朽化や多様化する消費者ニーズへの対応など共通の課題を抱えていました。新たな共同選果場の整備とスケールメリットによる有利販売の実現に向けて産地間での協議を重ね、2005年2月に一つの産地に統合、「山口あぶトマト」として新たなスタートを切ったのです。

 山口あぶトマト部会の倉増隆資さん(46)は、22歳のときにトマト作りを始めました。現在、萩市むつみ地域でトマト(品種、麗夏)を17㌃、ハウス6棟で年間17㌧を生産しています。麗夏は、果実が引き締まっていて酸味があり、日持ちがするのが特徴。部会で栽培されるトマトの8割を占め、市場からの評価も高いといいます。部会員は現在約80人。全員がエコファマーで、化学農薬・科学肥料の使用を抑えた環境保全型農業に取り組んでいます。「一人で作業しているので、経営規模は現状維持が精いっぱい。もっと人手があれば規模拡大できるのに」と倉増さん。産地を発展させたいが、担い手の減少がネックだと話します。

こうした状況を打開しようと、JAあぶらんど萩は月1回、県農林水産事務所と連携して「トマトスクール」を実施しています。トマト部会員が講師を務め、自身の施設を受講生に貸し出して、トマトの定植から収穫までの技術研修を行うというものです。就農意欲の高い人を対象とした本格的な技術研修で、今年、昨年度受講した研修生の一人が就農されました。JAあぶあんど萩阿中営農センターの烏田隆治次長は、「産地統合によって技術交流が盛んになり収量が増え、ブランドとしての知名度が向上したことで、農家の所得増大につながっています。こうした好循環が生まれている中、少しでも後継者を確保でき、産地の活性化につながれば」と担い手の確保・育成に意欲を示します。

倉増さんは、「産地が一つになって、同じ目標に向かってトマトを生産できるのは喜ばしいこと。様々な技術を学び合える、切磋琢磨できる環境が整っており、少しずつ仲間を増やしながら、自慢の産地を守っていきたいと思います」と意気込みを語ります。

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