明日への挑戦

2018年08月31日

県オリジナル柑橘「長門ゆずきち」


食材を引き立てる名脇役「長門ゆずきち」収穫本番/長門ゆずきちの会 吉村多能志さん

 

県オリジナル柑橘である「長門ゆずきち」が、県内最大の産地である長門市で収穫本番を迎えています。果汁が多く、爽やかな香りとまろやかな酸味があり、小ぶりながら果汁が多く搾れるのが特徴。いろいろな食材との相性がよく、料理の味を引き立てます。県内では、長門市、萩市、下関市で産地化され、「やまぐちブランド」の認定を受けています。

長門市内で生産に取り組む「長門ゆずきちの会」は、1998年に結成。転作制度の話が出ていた当時、同市で柑橘を育てようと、20農家が俵山地区を中心に長門ゆずきちを植栽したのが始まりといわれています。現在38人の会員が約4㌶で栽培しており、今年産は12㌧の出荷を見込んでいます。

会員の吉村多能志さん(70)は、長門ゆずきちの会が結成された当時、長門市役所に勤務しながら水稲などを栽培する兼業農家でした。現在、10㌃のほ場で長門ゆずきちを栽培しており、今年は3.5㌧の出荷を予定しています。吉村さんは、「今年は雨が少なかったので、例年よりも果実が小さいものが見受けられます。かといって、乾いたほ場に一度に多量の雨が降ると、急な吸水で果実が張り裂けてしまう恐れがあるんです。天候への対処ほど難しいものはないですね」と吉村さん。近年では鹿の害も増えており、苦労が多いといいます。

出荷する果実は、直径4㌢以上で、果汁が果実の重量比で20%以上のもの。果実が小ぶりでも、カボスやスダチ、柚子などと比べて搾汁率は高いとされています。「長門ゆずきちは、メインディッシュではなく食材のおいしさを引き立てる脇役。高血圧の人は、焼き魚などに醤油替わりにかけて食べてみて」と吉村さん。ご自身も、刺身に付けたり焼酎に入れたりして食べているそうです。

JA長門大津は、長門ゆずきちの生産拡大に向けてジュースなど加工品の開発に力を入れています。また、後継者を確保するため、営農講座などでの呼びかけも行っています。同JA東部営農センターの竹森伸也さんは、「長門ゆずきちや地場産野菜を使ったドレッシングなども試作段階にあります。農家の所得増大につながるよう、知恵を出したいと思います」と意気込みます。

長門ゆずきちの知名度は着実に向上しており、これからも“名脇役”として食卓を飾り続けます。

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