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2010年08月05日

昨年の豪雨被害を克服し地域農業の再生に取り組む宇津木農産


順調に生育した水稲を確認する 山本代表理事

 【山口】昨年7月の豪雨で甚大な被害を被った山口市小鯖地区は、今なお復旧工事が進む中、今回の大雨の被害は少なく、青々した水田は出穂を前に順調に生育している。この地区の特定農事法人「宇津木農産」の山本敦也代表理事は「このままの天候が続けば豊作になる」。「早期復興を願って県内44法人から義援金が寄せられたことが一番の後押しなった」と地域農業の再生に自信をにじませる。
 
 当法人は昨年ほ場整備が竣工したばかりの水田34ヘクタールのうち3割が土砂で埋まり、一時は主力野菜のキャベツの生産をあきらめたが、役員らの頑張りで作付けにこぎつけた。キャベツは40アールで7トン出荷したが安値で推移、今年から早取りなど収穫時期をずらした3品種に切り替え、面積も60アールに拡大する。復旧工事は土砂の搬出や生活道路も一部工事中だが、今年度中に回復する見通しだ。
 
 心配した災害復興費用の個人負担も無事に納めた。法人経営も厳しい中、組合員には小作料と1割の配当金も支払った。
 
 「国が進める戸別所得補償制度には不安もあり、国は担い手の育成に努力している法人をもっと支援すべきだ。若い担い手の確保は社会保障など就農環境を整えないと困難」と法人が抱える問題を強調する。ブランド名「鳴滝清流米」は食味も高く認知度も上がり、今後JAの共販を通じ販売を拡大する考えだ。当地区は集積率が高く助成事業の有利な面を活用しつつ、「課題である未整備田の対応については、法人として絶対に放棄しないで地域農業を守りたい」と意欲を示す。

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