明日への挑戦

2009年12月02日

伝統野菜守るとっくり大根生産グループ代表田中敬子さん


とっくり沢庵を店頭PRする田中さん

 【周南】周南市福川地区の伝統野菜「とっくり大根」の生産者で構成する「とっくり大根生産グループ」は地域の農業振興に貢献したとして2009年度「山口県農山村振興賞」を受賞した。


  グループ代表を務める田中敬子さん(64)は夫の栄作さんと3世代100年続く栽培を継承する。とっくり大根はお酒を飲む徳利に形が似ている漬物用の小型の大根で、収穫後柿の木で干す風景は福川地区の初冬の風物詩になっている。近年高齢化や漬け物需要の低下などで生産者が激減、加えて他の大根との交雑で、独特の形が保てない問題も生じた。


  田中さんはとっくり大根を守ろうと、2000年に生産者8人で同グループを立ち上げた。とっくり大根は山の斜面の圃場が多く、栽培は体力が必要だ。グループ化すれば困った時や相談事など生産者同士助け合えると仲間の絆を大切にする。


  2002年から県と市の「伝統野菜対策事業」を活用し、畑の一角に建てたビニールハウスで、形の優良な種子作りにも取り組む。JA周南の加工所で共同加工した「とっくり沢庵」は2004年から地元量販店の特産品コーナーで販売する。毎年続ける販売初日の店頭試食PRは、消費者の声を聞く大切な機会だ。販売を心待ちにするファンが着実に増えているのを実感する。今年も9ヶ月間漬け込んだ6000本のとっくり沢庵を9月から販売を開始する。もうすぐ今年の収穫が始まり、とっくり大根が柿の木に揺れる。田中さんたちが守ってきた風景だ。【JA周南/嶋中香織通信員】

このページの先頭へ